【失われなかった30年】
「『失われた30年』って言葉がありますけど、僕の知人で高木新平っていう人が『ローカルには失われなかった三十年』があるって言ってて、僕もそうだなって思ってます。圧倒的に生産性とかスピード感がローカルにはなかったから、残ったものが逆にいっぱいあると思って。
マーケットとしても弱かったから、つくり手とかも含めて残った。だから失われなかった30年が丹後にもいっぱいあって。
そういう面もこのまちの特性にもなってるし、その風土とか文化にもなってたりとかもするから、そういうものをわざわざものすごいスピード感の方向に持っていかなくても、それをちゃんとつなぎ直したりとか、過去を顧みたりとか、未来に問いかけたりとかしながらちゃんと積み上げていくことが、差別化にもなるし、丹後の特長にもなるんだろうなと」
「そういう意味において、都会のスピード感みたいなところを、追いかける必要はないなと。
それは都会の論理だし、世界の論理でもあるから、別にそこに無理して行くよりは、もっと自分たちの弱者の戦略でちゃんと強みを再定義しながら進めたらいいと思う。別にそれは外に対して閉じてるわけじゃなくて、そういう方向の中でいろんな関係性を持って、それぞれの物語を作ってもらいながらの方がいいんじゃないかな」

【物語が生まれるところ】
「僕らが住んでいて感じる丹後の良さは何だろうって考えた時に、見えないところでゆっくり人とか地域の物語に変化が生まれてるところだと思うんですよ。
日本海側に面してるっていうのもやっぱりあるので、思想的にはやっぱり外からの影響も受けてるし、京都からの影響も受けてるし、やっぱり風土の問題っていうのが、雰囲気っていうのが影響してるんだろうなって、なんとなくしていて。
すぐ表に出さないし、前にも出そうともしない。それがすごいいいところだなって僕は思っていて、の時間軸が圧倒的に長いなって感じてる。特に丹後とかっていうのは森と里と海が全部一つになってるから、いろんなことができるし、だからこそ、いろんな価値観や思想が共存できちゃってるんだと思って。そういうのが生きやすいし、いろんな物語が入りやすいし、かなり面白いなって僕は思っていて。」
「だから、1年に1回ぐらいは、そういう人や地域の変化を体感できる見本市を開催して、この1年間はこうなりましたよね、みたいな。現在地を確認する機会があればいいなという発想で、今回の「SLOW」を開催しようと思ったんです。とても速い資本主義の流れとかに対して、アンチテーゼとしてやろうよって言ってるわけです。
やっぱり、せっかくこういうまちに住んでるから、過去への参照点を持って、未来に対してちゃんと問いかけることをコツコツとできる形の企画を10年か15年はやりたいなと思っています。」
「 地域の変化は常に起こっているので、
アイデアがつながった人と、次の1年から3年でいろんな関わり方ができたりするといいなって思っています。プロジェクトや事業、拠点作り、何でもいいんですけど。国内外の多様な人が参加できたりとか、自分の物語を持ち込めたり。
まあ本当に多様だから、この地域は誰もそれダメだよって言わないし。自分なりの目線で物語を作っていってもらった方がいいなって思ってる。あくまでプラットフォームで、このプロセス全体みたいなこと「SLOW」って言ってるって感じですかね」

【丹後のつくり手について】
「まあ誰もがそうですけど、つくり手って元からプロなわけじゃないじゃないですか。
みんなアマチュアだったわけじゃないですか。で、だんだんちょっとずつプロになっていくわけじゃないですか。丹後にいてアマだったのが修行してだんだんプロになってってっていう人もいるし、18歳で丹後を出て、色々経験してこっちに戻ってきて、何か経験してプロになってく人もいて、いろんなアマからプロへの形成はあるんですけど、総じてアマに優しい。みんなめちゃめちゃ研究してるし、ものすごい試行錯誤していて、新しいことに対して寛容で。
アマ目線でこういうふうにやりたいんすよとか、自分もこうやっていきたいんですよって言った時に厳しくない。みんなを応援する傾向にあるというか。 プロなのに開かれてるっていう状況がある」
「過去の歴史文化や培われた風土とか、そういういろんなものがたぶんあるんだけど、プロのつくり手の中にアマチュアリズムがあるのかな。好奇心の赴くままにやってみようみたいな。そういうのを残し続けてるっていうところが、丹後のつくり手にはあるような気がしています」

【トークイベントについて】
「このトークインベントでやろうとしているのは、 今と過去と未来のつながりについて、ゲストと話していこうと思っています。例えば、ミクタン(※1)とかは、
2009年から2018年までやってて、まあそれがどういうことだったんだろうとか、これはこうだったよねという話をしながら、じゃあ未来に何ができるんだろうって。逆に未来への問いかけから過去を参照していくっていうパターンで、未来にこういう風になってると面白いなみたいなところから話が行くかもしれない」
「丹後の人は、基本は時間軸の長いことを丁寧にやってるとは思っていて、その中で 今回の5つのテーマは、この今住んでる丹後に中期的に大事なテーマだなっていうふうに思っています」

【フィールドワークについて】
僕はまち歩きが好きなんですよ。東京とかめちゃめちゃ歩いてたし、地域でも歩いて偶然の出会いを楽しみたいタイプなので。歩くってゆっくりした動作だし、目線が変わるから偶然の発見がすごい出るんですよ。記憶もすごい溜まっていくし、風景に記憶が宿ったりもして、楽しいです。なので、人がまちで歩いてて、たまたま出会って話してっていう機会を作りたくて、丹後をまち歩きができる場所にしたいなって、今回フィールドワークを企画に入れました」
「まち歩きをすると、住んでる満足度とか、面白いなって思う機会が増えると思うんですよ。だからもう構想上、なるべくまち歩きができるようなまちにしたいなっていうのが、もうそもそも論としてあって、そうした時に、「空想地図」を制作している友人にワークショップを依頼しました。まち歩きにあんまり興味がなかった人も、自分が作った地図との対比を見て、意外と面白いと感じるんじゃないかなって思うんですよ。それで発想が変わって、自分でもこういうまちにしたいなとか、これができると面白いなっていう人が増えると、この場所のことを深く知っていくきっかけになるだろうと思っています」

【マルシェ&ワークショップについて】
「今回のマルシェって、出店者と訪問客がつながって、コミュニケーションが生まれることの方がイベント期間の売り上げの結果よりも大事だと思っていて。だから多く来場者が来るっていうより、ちゃんと丁寧にコミュニケーションが取れるラインをどう設計するかの方が、企画側としては大事なのかなって思っています。
丁寧にコミュニケーション取れてつながりを意識するっていうね。マルシェに遊びにきてくれる人には、出店している人たちとコミュニケーションを取ったりとか、あるいはその中で、今回のテーマの「SLOW」について雑談なんしてかね。自分なりの楽しみ方でそこに参加したりとか来たりとか、楽しめたりとかする形になるといいなと思って」
「まちまち案内所をやってて感じることなんですが、熱量を持って行動できる人は素晴らしいと思うんだけど、別にそこまでじゃなくても普通に暮らせるし、生きれるし楽しいしっていうのがあったりするんで。最近特にそういうところが、むしろ大事な気もしてるんですよね。今回はこの方向性に合いそうな人に出店者として参加してほしいと思っています。最初から大きさを狙うというよりかはまちのサイズに合わせて、ちょっとずつ開いてった方がいいかなと。いきなり大人数で来ると、ただ消費されちゃうだけになっちゃうから。ちょっとずつ微調整しながら、全体の設計を無理なくつなぎかえていくっていうことを長い目線で続けていきたいなと思っています」
(※1)mixひとびとtango(ミックスひとびとたんご)、通称「ミクタン」トラベルコーディネーター・芦田久美子の発案で始まった「草を結ぶ ひとを結ぶ 豊かな土地
丹後」をテーマにした地域体験型イベント。『自由に丹後を歩いて、ひと・もの・自然・風景との出会いを楽しむこと』を目的とする。